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2016年 02月 05日
山浦玄嗣「ケセン語の世界」 (5)
~ 劇団ケセン・はまなすホール公演に向けて~ ケセン語の金字塔 ケセン語には、一万数千年も続いた縄文エミシ語の厚い基層があります。その基層には、自然の精霊や神々を畏れ敬い持続的な暮らしを営んできたケセンエミシの魂が今もなお息づいています。 その息づかいを立証するために、山浦は現代のケセン人が話すケセン語を収集して『ケセン語大辞典』(二〇〇〇年・無明舎出版)を編纂するという大事業を成し遂げました。 この大辞典は上下二巻で三万四千語もの膨大な語彙が収録されており、しかも「ここにはわたしの耳で聞いたことのない語彙は一つもない」のです。収録された語彙すべてに、実際に使われている言葉が例文として引用されています。 この作業のために、どれだけの労力が費やされたことでしょうか。この献身的な労力のおかげで、私たちケセン人は、『大辞典』の名に恥じぬ豊かな言語と文化を誇ることができるのです。ケセン語の金字塔として、この偉業に心から感謝したいと思います。 ケセン語と日本語 ケセン語の収集だけではありません。山浦は『ケセン語大辞典』の「文法編」で、ケセン語の内部構造や音調にも精緻な分析を加えて体系化しています。 その研究から、ケセン語が学校文法に代表される既存の文法をはるかに凌駕し、日本語全体の構造にも通じる壮大な体系を持つことを解き明かしたのです。 日本には多くの方言があり、方言研究も盛んに行われています。しかし、その研究は博物学のように地方の珍しい語彙や事象を採取するにとどまっており、その全体像を総合的に体系づけたのは山浦のケセン語研究が最初で唯一なのです。 ケセン語で確立した文字の工夫と文法の体系化の手法は、他の方言についても応用できるものです。ケセン語と同じように、各地の方言がそれぞれに体系化されることは、日本語を捉え直し、あらたな体系化をも可能にすることでしょう。 自然界において、多様な生物が共存することで持続的で豊かな生態系が維持されることが示されています。言葉もまた同じなのです。この国にも多様な言語(方言)が自立し共存することで、より豊かな言語環境が確立されるはずです。 そしてケセン語はその先駆けになっている。そのことを私は誇らずにはいられません。
by sophia_forest
| 2016-02-05 21:38
| ケセン
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