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2007年 04月 26日
今日から、いよいよ「ふゆみずたんぼ」の米作りが始まる。
朝一番に、専業農家でPTA会長でもある従弟にたんぼの代かきをしてもらう。その後、田尻の「ふゆみずたんぼ」でつくった米(ササニシキ)の種籾を受け取りに向かった。 この種籾は、すぐに播けるように殺菌と催芽の処理をしてもらったものだ。種籾は発芽の準備を始めたのだろうか、独特の発酵臭がでている。この臭いは何に例えたらいいだろう・・・。 種播きは、同じ町内で4年前から「ふゆみずたんぼ」に取り組んでいる本吉響高校の方法にならう。プラグトレーとよばれる育苗用の容器があり、288穴タイプのものに種籾を一粒づつ播いていくという「地道」な方法だ。 これは、「ふゆみずたんぼ」では1株1本方式をとっており、それでも慣行田(一般のたんぼ・機械植え1株5~6本)以上の収穫が可能であるからだ。 学校田は8アールほどで、これに必要なトレーを50枚用意した。種籾の粒数に直すと14400粒。生徒一人が一つのトレーという「人海戦術」が使えるので可能になるが、これだけの種籾を一人で播くことを考えたら気が遠くなってしまう。 ところで、種籾一粒の重さはどれくらいかご存知だろうか。本吉響高校の先生が測ったところ、重さは平均0.022gだったそうだ。 う~む、日本原燃が再処理工場からはこれしか放射線を出しませんなどとうそぶいている数値(シーベルト)と同じとはね・・・。 それはともかく、14400粒ではどれだけの重さになるかというと、わずか316.8gだ。8アールの慣行田で使う種籾はおよそ4kgというから、その8%でしかない。 「ふゆみずたんぼ」で種籾を1株1粒にすると、慣行田で使う種籾の10分の1以下だ。逆にいえば、慣行田では、同じ面積でも、「ふゆみずたんぼ」の10倍以上の種籾を使っていることになる。 なぜ、これほど大きな違いがでるのだろうか。 これは、慣行田では1株に5~6本を植付け、さらに株の間隔も狭くする「密植」を行なっているからだ。狭いたんぼでも多くの収量を上げるために考えだされたのだろうが、では、その結果はどうだろうか。 種籾が多くなればそれだけ肥料も必要になる。また密植のために、光が十分にあたらず風通しも悪くなり、病気になりやすくなってしまう。そこで農薬を使わざるをえなくなる。 何かに似ていると思ったらブロイラーだ。せまいゲージの中に押しこめられ、高蛋白高カロリーの餌を与えられる。病気の蔓延をおそれて餌には抗生物質を入れ、鶏舎には消毒液を撒き散らす。それと同じ構造が稲作にもあったわけである。 「ふゆみずたんぼ」を始めなければ、稲作でブロイラーと同じことが行なわれていたことには気づかなかっただろう。 だが、長年、密植農法を当然と思わされてきた農家のほとんどはこのことに気づいていない。効率良く収量をあげるためにと、機械を買わされ、化学肥料と農薬がセットになってついている。実際、米の品種ごとに使う肥料が指定されているのには驚いた。 そのあげくが、米が余ったからと、減反、米価の低落である。米を作るよりも買った方が安いという状況にすらなっている。 結果、わが故郷の田んぼの多くが、耕作を放棄されて荒れ果てていくという有り様だ。 農業がどうあるべきなのか、自然と共生しながら農業で暮らしが立つような仕組みをどうつくればよいのか。「ふゆみずたんぼ」を通して、子供たちと一緒にそのことを考えてみたいと思う。
by sophia_forest
| 2007-04-26 22:40
| 農業
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