ライフログ
最新の記事
記事ランキング
以前の記事
リンク
ブログパーツ
その他のジャンル
|
2011年 08月 27日
8月20日と21日に気仙沼市で「復興住宅プロジェクト」の説明会を行った。このプロジェクトの趣旨を地域の住民に理解してもらうために、『三陸新報』に「住宅の復興は地域の力で」という文章を3回にわたって連載した。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 住宅の復興は地域の力で 「復興住宅プロジェクト」とは何か(上) 地域には三つの経済がある 水俣で「地元学」という地域おこしに取り組んでいる人物に吉本哲郎さんがいる。吉本さんによると、地域は三つの経済で成り立っているという。一つは貨幣経済、次に「結い」や「講」などの「共」の領域の経済。そして、もう一つは自給自足の経済だ。 この三つの経済がバランスよく機能することが本来の地域のあり方だと吉本さんは言う。だが実際には貨幣経済だけが膨れ上がってしまった。それは、地域の振興が公共投資や補助金という貨幣による振興策として行われてきたからである。 震災が問いかけるもの これは水俣だけの問題ではない。日本のどの地域も、貨幣による「振興」を目論みながら、結局は財政難に苦しみ、人材の流失や住民の高齢少子化を招いて、自治体としての存続さえ危うくさせるような事態にまで深刻化してしまった。平成の大合併を強引に推し進めざるをえなかったのは、それがいかに深刻であったかを物語っている。 農林水産業を主とする本吉町もまた同じ状況だ。農林水産業の担い手はすでに高齢化し、後を継ぐ者もほとんどいない。町が衰退する中で、一度は破たんした合併が、町を二部する混乱を招き、結局は合併を選んで気仙沼市の一地区に姿を変えてしまった。 そうした状況の時にこの震災である。この震災は、こうした社会のありようを根底から覆すことで、地域のあり方や自然と人間とのあるべき姿を問うているように、私には思えてならない。地域を復興・再生し、本来の地域自治や自給を確立するためには何をすべきかを、いまこそ考えるべきだろう。 地域における復興とは何か ところが、震災復興の名のもとに国が進める「仮設住宅」には、この震災から学ぶべき教訓が何も反映されていない。なにより、この仮設住宅の建設が中央の大手住宅会社やゼネコンによって行われており、またもや貨幣経済だけが横行している。地域の「共」の経済や自給自足の経済がないがしろにされるのでは、震災前と何ら変わりはない。 さらに、この仮設住宅によって地域ごとのコミュニティが崩壊することも指摘されている。まして、仮設住宅建設の資金の大半が地元には落ちず、中央に還流してしまうのでは、地域の復興などとはとても言えたものではないだろう。 私もまたその一人であるが、被災した地域の住民が避難した寺では、行政の支援や物資も届かない中でも、大工や電気、水道など地域の職人たちが、その腕をふるって炊事場や水道施設、風呂やトイレまで建ててしまった。 これだけの力が地域にはある。それゆえ住宅の復興もまた地域住民の力にまかせるべきだろう。それこそが、地域本来の「共」の経済や自給自足の経済の復興にもつながるはずである。(続く) 大谷地区の避難所(仙翁寺)の炊き出し場(3月17日撮影) リンク:復興住宅プロジェクトのホームページ
by sophia_forest
| 2011-08-27 11:19
| 総合
|
ファン申請 |
||