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2011年 08月 27日
住宅の復興は地域の力で
「復興住宅プロジェクト」とは何か(下) 自然は「無料のコンビニ」だ 私が子供だった頃、高度経済成長期に入る以前は、この大谷の海岸には、多くの生き物が湧くようにいた。アワビは海のシラミと呼ばれるほど岩にベタベタとついており、アサリもハマグリもカニもタコも、浜で遊んでいるだけでいくらでも採れたものだった。 吉本哲郎さんは、ある若者が「水俣にはコンビニがない」と言うから、「そんなことを言うな。水俣の海や山、川は無料のコンビニだろが」と言い返したという。まさに豊かなる「無料のコンビニ」がここにもあったのだ。 自然は、私たちが謙虚に寄り添うことで、命を育み、豊かな恵みを与えてくれた。その謙虚さを、私たちはなぜ失ってしまったのだろうか。 津波によって無残に破壊されたコンクリートやブロックは、人間が傲慢にも力ずくで自然を抑え込もうとしてきたことが、いかに愚かで虚しいことであるかをはっきりと示している。 地域自給の家づくり 豊かな自然があったのは海だけではない。この地域はその七割が山(森林)である。この山の自然にも地域の暮らしは支えられてきた。春には山菜、秋には栗やアケビ、キノコなど山の恵みも豊富にあったことを、高度成長以前に子供時代を過ごした者であれば覚えていることだろう。 地域ごとの共有林もあり、そこで育てた木を使って家づくりや暮らしに役立ててきた。植林した木を育てるために、中学生であった私も刈り払いに駆り出されたことを覚えている。 あの頃の家づくりの様子を懐かしく思い出す。近所の大人たちが集まって、棟上げや建前を祝う賑やかな家づくりだった。そしてどの家も大きく立派だった。これも「共」の経済と自給自足の経済が活きていたからこそであり、貨幣経済だけではとても成り立つものではない。 地域と都市との「共」の経済 この地域自給の家づくりを復活させ、地域復興の大きな起爆剤にしようというのが「復興住宅プロジェクト」である。 とはいえ、震災にあった地域の住民にそれだけの余裕はない。そこで都市に住む仲間たちが資金と技術を提供してくれることになった。地域の復興を担う住宅である。地元の木材を使い、地元の職人に建ててもらおう。「共」の経済と自給自足の経済の復興だ。 どうせ作るなら、健康で長持ちのする家がよい。その設計と技術は、長年シックハウスの問題に関わり、家づくりを通じて森林と林業の再生に取り組んできた建築家が提供してくれる。 建設の資金は、非営利の市民バンクがこのプロジェクトのために出資を募って集めたものだ。都会の住民たちが、被災し住宅を失った地域の住民のためにその資金を提供してくれている。 住宅が完成した時には、出資していただいた都市住民を招待して、その完成をともに祝いたいと考えている。そこからまた地域と都市の住民同士による新たな「共」の経済も生まれることだろう。 (復興住宅プロジェクトの説明会は10月中旬に再度行われる。) 大谷中学校の旧校舎。定置網の水揚げを資金にして、地元の木材と職人によって建てられたものだ。
by sophia_forest
| 2011-08-27 11:48
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