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2016年 02月 05日
山浦玄嗣「ケセン語の世界」 (3)
~ 劇団ケセン・はまなすホール公演に向けて~ 紋様と精霊 一万数千年も続いた縄文の秘密を解くもう一つの手がかりが縄文土器です。 この土器がどう使われていたのかについてはいろいろな説がありましたが、二〇一三年にイギリスの科学者が最古の縄文土器(一万四千年前)を分析したことで、食べ物を煮炊きするために実際に使われていたことが明らかになりました。 縄文人は煮炊きをすることによって、生のままでは食べることのできないものまでも食料にしており、はるかな昔から豊かな食生活を送っていたのです。 しかし、煮炊きをするのに紋様はかえって熱効率を悪くします。実用的とはいえない紋様を、なぜ縄文人は土器に刻んだのでしょうか。 現代でも同じような紋様の土器を使っている部族がいます。パプアニューギニアで伝統的な生活を受け継いでいるクウォマの人々です。 彼らにその紋様の意味を尋ねると、紋様は自然の精霊を表しており、身近なところに精霊がいることで豊かな生活ができるというのです。 自然の中に精霊を見出しながら暮らす。紋様には自然を畏れ敬う精神世界が描かれていたのです。 ケセン語の復権 縄文の精神世界は、土器に刻まれた紋様のように、ケセンに暮らす私たちの魂にも刻まれています。 ヤマト族が執拗に支配を広げてきたことから、私たちの先祖であるケセンエミシは、自然の精霊や神々と共にある持続的な暮らし守ろうと、非道な侵略者であるヤマト帝国に果敢に抵抗し、その強さゆえに「鬼」と忌み嫌われて、闇に葬られてしまいました。 しかし、それでもなお、「ケセンの山野には鬼と言われた太古のケセン族の誇り高い歴史と精神が満ち溢れている。われわれの間に伝わる数も知れぬ伝説には、彼らの息吹が生きている」(『ヒタカミ黄金伝説』)のです。 私たちの祖先がこのケセンの地で大切に育んできた言葉、心、そして生き様は、過酷な歴史の荒波にもまれながらも、悠久の時を超えてなお息づいています。 その息遣いを伝えている言葉こそケセン語なのです。この大切な言葉を私たちは今、山浦玄嗣という存在を得て、再び手にすることができたのです。
by sophia_forest
| 2016-02-05 20:46
| ケセン
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